魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「どうせあんたたちも、ウチの店に用があって来たんでしょう」
「店? なんのこと?」
「しらばっくれんじゃないわよ。このヴァルクは観光地じゃないの。服を作りに来たか、労働に来たかのどっちかでしょう? でも残念ね。この私を怒らせたんだから。もうこの街では、あんたたちを相手にする者なんかいやしないわよ。この田舎者どもが!」

 茶髪の女性は一気に捲し立てると、ボクとブルーノの間を、わざとらしく肩を大きく動かして通っていく。

 普段のボクなら、事故に遭ったと思ってやり過ごすんだが、間近で見る彼女の横顔を見て、思い出したのだ。先ほど感じた既視感の、その正体に。

「田舎者だと! この俺のどこが田舎者だというのだ!」

 ボクが思考の海に沈みかけた瞬間、ブルーノが女性の腕を掴む。王子という身分が、彼女の発言を見逃すことができなかったのだろう。どちらかというと、彼女の方が田舎者だからだ。

 本来ならば、ここは諫めるところ。だけどボクは思い出してしまったのだ。彼女が誰に似ているのかを。そうなると、話は別だった。