魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 その後、カーマイン公爵邸に度々訪ねに行っていたが、ボクが心配するようなことは何一つ起こらなかった。また、公爵邸の者たちも事情を知っているため、もうボクの訪問を訝しげに見る者もなく、自由に出入りすることができるようになったのである。

「なんだと! つまり俺が、初めてカーマイン公爵令嬢に会った時はすでに、別人だったとでもいうのか!」
「……もう一回説明しないと、この頭は理解できないのかな?」

 謁見の間にブルーノの声が響き渡った瞬間、スパーンと乾いた音が後に続いた。

「痛いじゃないか!」
「そりゃ、痛いと感じるように叩いているからね」

 逆に痛みのない叩き方をしてなんになる。

「俺はただ、確認のために聞いただけだ。理解はしている!」
「だったら、わざわざ叫ぶことはないだろう」

 うるさいんだよ、という言葉が出かかったが、すぐにブルーノが応戦してきたお陰で言わずに済んだ。