魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 少しばかり緊張感の漂う応接間で、ボクは静かに語った。
 このままブルーノと婚約したままにしていると、ミルドレッドは十八年後に婚約破棄を言い渡され、この国から追放される。それによって、カーマイン公爵家も苦難の道を辿ることになるだろう、と。本当の予言のように伝えた。

「ボクは、自分が祝福を与えた子を不幸にしたくない」

 素直にミルドレッドを救いたい、と言えないのが難点な性格だと思う。すべてはボクのため。ボクの自己満足でやっている。どうして、そんなことしか言えないのかな。

 だけどカーマイン公爵にとって、今のボクの発言など、ほぼ耳に入っていなかったのだろう。

「ブルーノ王子との婚約は、こちらの都合で解消することはできない。そのような動きをすれば、国王はこの婚約を王命として下すだろう。もしくはミルドレッドを人質にとる、という強硬手段をし兼ねない」
「……政治的なことは分からないけど、つまりできない、ということなんだね」
「すぐには無理だろう。だが……絶対に成し遂げて見せる」

 いいね。色男の諦めない、強い眼差しは。向けられているのはボクだけど、気持ちの部分はミルドレッドと奥方にある。