魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「そもそも、なんで入れ替わったんだ? 魔女でも貴族の真似事みたいなのをしたかった、とでもいうんじゃないだろうな」
「……ブルーノ、失礼だぞ」
「何を言うんですか、父上。我ら王族を欺いたのですから、それくらい聞く権利はあります」

 普段は乙女ゲームの設定らしく、頭の軽いブルーノだが、そこら辺はやはり一国の王子なのだろう。時々、鋭いことを言う。
 確かにブルーノの言う通り、何も知らない赤ん坊の頃に、ミルドレッドとエリアルを入れ替え、最終的にボクがカーマイン公爵令嬢の地位に座ることになった。

 誰がどう見ても、被害者はブルーノで、加害者はボク。人の運命を弄んだ魔女だ。

「ブルーノ王子様の非礼は、今に始まったことではないから気にしていない。むしろ、王子様と呼ぶのも面倒だと感じているくらいだから、別にいいよ」
「そ、そうか」
「だけど、そうだな。入れ替わった理由くらい、教えてもいいかな」

 すでにカーマイン公爵には話しているんだ。ここが乙女ゲーム『贄姫になっても恋はしたい』の世界であることや、悪役令嬢ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢の末路を。
 そしてヒロインのエリアル・アルク男爵令嬢と、攻略対象者であるブルーノ王子との結婚は、実現しないところまで来ている。

 話したところで、ストーリーは元に戻らない。ミルドレッドが悪役令嬢になることは、もうないだろう。たとえブルーノに会ったとしても、本筋のストーリーが動き出すことはあり得ないはずだ。となると、ボクの目的は、すでに達成されたも同然、というわけである。

「では、話そうか。ボクが人の運命を弄ぶ魔女になった、あの日の出来事を」