魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 ***


「ブルーノ、王子様?」

 廊下を走ってしばらく経ってからのことだった。脇道から、聞き覚えのある声がしたのだ。慌てて立ち止まり、声のした方へと戻る。
 やはり聞き間違いではなかったらしい。探していた人物の手掛かりとなる人物が、立っていたのだ。

「ミルドレッド。いや、カーマイン公爵令嬢。いいところにいた」
「えっ、それはどういうことですか?」

 俺は状況を説明し、公爵を探していることを告げた。

「祭壇の間への立ち入りは、この際、咎められないだろう。公爵は今、どこにいるんだ!」
「父は宰相様と一緒に、国王様の部屋にいらっしゃいます。エリアルがどのような状態になるか、ユニティさんから事前に聞いていましたので、私は外にいる従者たちを呼んできます」
「そうだな。ここは手分けした方がいいだろう。頼む」
「はい!」

 そうだ。ユニティはそういう奴だ。ミルドレッドの時も、事前に乳母を公爵家に向かわせていた。だから今度も、エリアルのために、できることをしていたのだ。

「まだまだ俺は、詰めが甘いな。公爵のような力がないのなら、もっと先を読まなくては……ユニティが真っ先に頼る相手に……なるんだ」

 だが今は、公爵を呼びに行くのが先決だ。