魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「ユニティ殿。エリアルは、どうなってしまったのでしょうか」
「棺は問題なく破壊されているし、バラの茎も発生していない。ボクたちが乗っているのにもかかわらず、祭壇に反応がないから、目的は達成したと思っていいよ」
「で、ですが、エリアルの意識が……」

 ギルバートの視線がエリアルの右手へ向けられる。俺も視線を辿ってみたが、血だらけで贄の痣の有無が確認できなかった。ユニティはそれを躊躇うことなく、魔法で洗い流す。

「贄の痣も、ちゃんとなくなっている。大丈夫。エリアルは今、血を流し過ぎたのと、幻の精神攻撃で意識を失っているだけだ」
「では……もう贄になることは」
「うん。ないね。でも一つだけ問題がある」
「なんでしょうか」
「……本気で言っているの? 今のエリアルは、大きな怪我はしていないから、貧血みたいな状態だけど、治療が必要な状態だということには変わらないんだよ! 回復魔法をかけながら、別の魔法を使うことはできるけど、今のエリアルを見ていると、そんな余裕はないし……」

 困ったなぁ、とブツブツいうユニティの言葉で、俺とギルバートは、今も尚、緊急事態であることを悟った。