魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 バキッと木の割れた音が、祭壇から少し離れた場所にいる俺の耳にまで届く。その瞬間、ギルバートが刺したのだと悟った。

 ユニティから祭壇を壊すには、その上に置かれている棺と共に、エリアルの痣を同時に剣で刺すのだと聞いた。当然ギルバートは、他の方法を訪ねたが、ユニティもエリアルも首を横に振るだけで、答えなかった。

 それしか方法がない。ギルバートにとっては、好きな女を、手とはいえ刺すのだ。苦渋の決断だっただろう。
 表向きは騎士団で扱かれていたから、となっているが、本当は気持ちの整理がなかなかできなかったため、祭壇の間へ行くのが遅れたのだ。

 そんなギルバートが果たした。ならばこちらも、次の段階に移らなければ。おそらく祭壇の上は大変なことになっているだろう。

「ユニティ!」

 背を向けていたユニティに声をかける。すると、すでに箒に乗っていたユニティが俺の腕を取り、後ろに乗せてくれた。
 流れるように舞い上がる。落ちないようにと、ユニティが俺の腕を自身の腰に回してくれているから大丈夫なのだが……実際はそれどころではなかった。ユニティの体に触れているという緊張感よりも、箒のスピードに圧倒され、振り落とされないようにするだけで精一杯だったのだ。
 お陰で祭壇の上に到着した時は、足がふらふらになっている、という情けない姿になっていた。

 その間にユニティは、棺の横で倒れているエリアルに、一直線に向かっていく。ふらふらになっている俺など、目もくれずに。