「……棺」
そう、祭壇の上にあるのは、長方形の棺。贄になったものが中に入り、この国を守る神様とやらに捧げられる。
よく見ると、棺の蓋には、私の右手の甲にある痣と同じバラの絵が描かれていた。これを消し去らなければ、私はずっと贄のまま。そっと白い手袋を外して、棺の上に右手を乗せた。
「ギルバート……説明した通り、私がこの模様に右手を重ねるから、剣で一思いに刺して」
「っ!」
嫌な役をやらせている自覚はある。
「棺だけを破壊しても、痣だけが残ってしまうの。痣を取り除くためには、私の……贄の血が必要なの。だから……!」
「分かってる。分かってる、けど……」
躊躇うギルバートの姿に、私は笑顔を向けた。幻で見たあの二人なら、躊躇いなく剣を刺すだろう。自分たちのために、誰かが傷ついても何とも思わない。
けれどギルバートは違う。私のために苦しんでくれている。躊躇ってくれている。それは私のことを思ってくれているから。
「好きだからギルバートにお願いしているの。他の誰かに刺されるのは嫌。ギルバートだから、救ってほしいの」
「エリアル……そうだね。俺もエリアルが好きだから助けたい」
ギルバートはそういうと、鞘から剣を抜き、棺に近づいた。そして、一気に貫く。溢れる血と共に、右手の甲からバラが足搔くように出て、花びらを散らす。
血の赤なのか、元々のバラの色なのかは分からない。ただ……私の血が棺を覆っていった。
そう、祭壇の上にあるのは、長方形の棺。贄になったものが中に入り、この国を守る神様とやらに捧げられる。
よく見ると、棺の蓋には、私の右手の甲にある痣と同じバラの絵が描かれていた。これを消し去らなければ、私はずっと贄のまま。そっと白い手袋を外して、棺の上に右手を乗せた。
「ギルバート……説明した通り、私がこの模様に右手を重ねるから、剣で一思いに刺して」
「っ!」
嫌な役をやらせている自覚はある。
「棺だけを破壊しても、痣だけが残ってしまうの。痣を取り除くためには、私の……贄の血が必要なの。だから……!」
「分かってる。分かってる、けど……」
躊躇うギルバートの姿に、私は笑顔を向けた。幻で見たあの二人なら、躊躇いなく剣を刺すだろう。自分たちのために、誰かが傷ついても何とも思わない。
けれどギルバートは違う。私のために苦しんでくれている。躊躇ってくれている。それは私のことを思ってくれているから。
「好きだからギルバートにお願いしているの。他の誰かに刺されるのは嫌。ギルバートだから、救ってほしいの」
「エリアル……そうだね。俺もエリアルが好きだから助けたい」
ギルバートはそういうと、鞘から剣を抜き、棺に近づいた。そして、一気に貫く。溢れる血と共に、右手の甲からバラが足搔くように出て、花びらを散らす。
血の赤なのか、元々のバラの色なのかは分からない。ただ……私の血が棺を覆っていった。



