魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 祭壇が何を仕掛けてくるのか。前世でプレイしていたから、大体の想像はついていた。
 ユニティからは、本当のヒロインと同じ状況じゃないんだから、ゲームと同じような考えで挑むな、と忠告を受けていたのもある。それを差し引いても、この幻は辛い。

「現実の私はどうなっているのかな」

 覚えているのは、祭壇が光り出し、私の体を突き抜けていった瞬間のことだった。気がつくと私は、見知らぬ場所にいた。

 何も知らなければ、慌てていたと思う。傍にいてくれたギルバートがいないんだもの。いや、いなくてよかった、と思うべきかもしれない。なぜなら今の私の姿は、エリアルじゃない。前世の冴えない私だ。

 物語のヒロインでもなければ、誰からも愛されない、惨めな私。甘い言葉に騙されて、お金を渡して、都合のいい女扱いをされた挙句、捨てられた。
 私が頑張って働いたお金は、全部全部、彼とあの女が楽しむために消えていったのだ。

 頭で分かっていても、彼が好きだった。周りから「もう止めなよ」とか「騙されているんだよ」とか散々バカにされたけど、彼だけが心の支えだった。素直になれない私を必要としてくれる。優しくしてくれる。それが偽りであっても構わなかった。

 あの時の愚かな自分を、私は今でも許せない。許せないからこそ、戻りたくなかった。見たくなかった。