魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

旋風魔法(サイクロン)

 本来なら、強力な風の渦を敵に攻撃する魔法だが、今回はそれを応用して、自分たちを中心に風の渦を巻き起こした。ギルバートが切ったバラの茎が、一斉に部屋の隅へと追いやられ、ボクたちの周りだけ、スッキリした状態になった。

「ギルバート。祭壇の勢いが衰えている。エリアルは今、自分のことで精一杯だから……分かっているね」
「はい、事前に段取りを聞いていたので、大丈夫です!」
「いい返事だ。祭壇から新たに向かってくる茎は、ボクがなんとかする。だからそのまま進むんだ」
「ありがとうございます!」

 その時だった。ギルバートに体を預けていたエリアルが、ボクの方を向いたのは。まるで「行ってくるね」というような表情に、ボクは安堵した。

 まだ大丈夫。エリアルは負けていない。祭壇の見せる幻は人それぞれだ。乙女ゲームのヒロインが見ていたのだって、攻略対象者毎に違うのだ。今のエリアルだって……。

風刃魔法(ウインドカッター)

 ギルバートとエリアルの前方に向かって、再び風の刃を向ける。さぁ、乙女ゲーム『贄姫になっても恋はしたい』のクライマックスだ。