魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「さすがに乙女ゲームのヒロインの私が、悪役令嬢に会うのはマズいんじゃないかな。ちょうどイベントが発生している最中だし」

 確かに。ミルドレッドはブルーノと婚約できなくて、ショックを受けていたから、何かしらゲームの影響を受けているのだろう。

「今日はやめておくよ。ボクはともかく、エリアルがいるからね。いきなり義妹が現れた、なんて知ったら、嫌なことを思い出すんじゃないかな」
「あっ……そうね。エリアルちゃんと会えて嬉しいあまり、自分勝手になってしまったわ」
「公爵夫人にとっては、エリアルもミルドレッドも、等しく大事なんだろうけどさ。今はミルドレッドに集中してあげて。エリアルにはほら、立派な彼がいることだし」
「ふふふっ、そうね」

 そんなボクと公爵夫人が話している間、エリアルとギルバートがアタフタしていたのは言うまでもない。
 和やかな雰囲気の中、ボクたちは執務室を出て、エントランスへ向かった。すぐに王城に行くことはできないけれど、これで準備はできた。あとはどうやって祭壇まで行くか、だけど……。

「ブルーノ王子様!」

 エントランスに着き、メイドが扉を開けようとした瞬間だった。階段の上から声がしたのだ。皆が振り返ると、そこには見違えるほどに美しく着飾ったミルドレッドの姿があった。

 けれどミルドレッドが見つめるのは一点のみ。呼び止めた人物に向かって、一直線に駆け寄った。まるでボクやエリアル、ギルバートの姿など見えていないかのように。
 その仕草に、呼ばれたブルーノも戸惑っている様子だった。