魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「さて、もういいかい、御二人さん」

 女の子の家にはまだ慣れないだろうけど、聞く準備はできたのか、と尋ねた。ブルーノは王子として、色々な家に行くからだろう。すぐに大丈夫だ、とでもいうような顔をした。

 そういえばカーマイン公爵邸に行った時も、平然としていたな。今、そわそわしていたのは……平民の家が珍しかったのか? それならギルバートの家にいたのだから、そわそわする必要はないのに。やはりカシルが乙女ゲームのヒロイン、だからか?

 一方のギルバートは、お茶を運んできたカシルを見た途端、居住まいを正した。こっちはこっちで分かり易い。

「どうやら準備はできたようだよ」
「うん。ありがとう、ユニティ。それじゃ、話すね。どうしてここ最近、ギルバートを避けていた理由を」

 ここまでお膳立てをしたからだろうか。今のカシルは、ギルバートを前にしても、ボクに不安な顔を向けていなかった。だからボクも、ブルーノとギルバートと一緒に、カシルの声に耳を傾ける。

「実は豊穣祭の準備中に、贄に選ばれてしまったの」