魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 翌日。ボクはカシルを連れて、ギルバートの家に向かった。やはり緊張しているのか、カシルはギルバートとの思い出を、ボクに聞かせてくれていた。
 ボクとしては、この街で楽しく過ごしていたことが知れてよかったし、カシルも楽しそうに話してくれたから安心していたんだ。

 だけどギルバートの家に着くと、話は違う。ノックをする手すら震えている。勿論、その手には白い手袋がはめられていた。

「ボクがしようか?」
「ううん。大丈夫。心の準備が必要なだけ」

 こんな時でも、素直に言えないんだな、とは思うものの、カシルにとっては決意の表れでもあった。
 待つこと数分。ゆっくりと息を吐き、カシルはノックをしようと手を振り上げた。その瞬間、扉が開くのはお約束だろうか。

 けれどカシルの手が誰かに当たることはなく、反射神経でキャッチしたギルバートの手に握られていた。驚くカシル。だけどギルバートも咄嗟に動いただけで、相手がカシルだと分かると、驚いていた。