「そこはカシルに聞くんだな。女をここまで動かしておいて、自分は待っている、なんてせこいことはしないだろう?」
「っ! た、確かに、ルーノ殿の言う通りですね。俺、カシルが襲われるかもって現実味を帯びた時、どうしようもない焦りを感じました。実際、それを目撃した時は、もうあの時の自分を殴りたいほどで。ルーノ殿に言われなかったら、今頃カシルは、と思うとさらにです」
「それは結果論でしかないが……間に合って良かったと、本当に思う」
俺は……どうだろうか。最初から好意を向けられている相手に尋ねるギルバートとは違って、俺の場合は、底辺だ。いや、マイナスからの出発だ。
いくら偽の婚約者であっても、浮気はよくなかった。今思うと、箒で叩かれるのも無理はない。信用すらされていなかったのだ。今のような信頼――といってもいいのか分からない――関係になって、初めて分かる現状。
「そもそもギルバート殿には聞く権利がある。林でカシルを助けたのは、まぎれもなくギルバート殿なのだからな。自信を持て」
「は、はい!」
まるで城にいる騎士のような返事に、ギルバートの素直さを垣間見たような気がした。他人に対して、まだ物を言えた立場ではない俺の言葉を鵜呑みにするのだから。
いや、この素直さが羨ましいと思ったのだ。俺も進まなければ。まだ共にいてもいい関係になるための一歩を踏み出すために。
「っ! た、確かに、ルーノ殿の言う通りですね。俺、カシルが襲われるかもって現実味を帯びた時、どうしようもない焦りを感じました。実際、それを目撃した時は、もうあの時の自分を殴りたいほどで。ルーノ殿に言われなかったら、今頃カシルは、と思うとさらにです」
「それは結果論でしかないが……間に合って良かったと、本当に思う」
俺は……どうだろうか。最初から好意を向けられている相手に尋ねるギルバートとは違って、俺の場合は、底辺だ。いや、マイナスからの出発だ。
いくら偽の婚約者であっても、浮気はよくなかった。今思うと、箒で叩かれるのも無理はない。信用すらされていなかったのだ。今のような信頼――といってもいいのか分からない――関係になって、初めて分かる現状。
「そもそもギルバート殿には聞く権利がある。林でカシルを助けたのは、まぎれもなくギルバート殿なのだからな。自信を持て」
「は、はい!」
まるで城にいる騎士のような返事に、ギルバートの素直さを垣間見たような気がした。他人に対して、まだ物を言えた立場ではない俺の言葉を鵜呑みにするのだから。
いや、この素直さが羨ましいと思ったのだ。俺も進まなければ。まだ共にいてもいい関係になるための一歩を踏み出すために。



