魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「今日、ギルバートに会って、どれだけカシルのことを心配していたのかを知ったよ。ブルーノに発破をかけられて、ようやく動き出す気になるほど、臆病になっていた。それってつまり、今のカシルと同じだよね」
「同じ……」
「なんの感情も抱いていない相手に、臆病になんてならない。好きな相手に拒絶されるのが怖いから、臆病になるんだよ」

 だからボクは、ミルドレッドに会うのが怖かった。そして会わずにいたことを後悔した。もうそんな後悔はしたくない。だからね、カシル。ううん、エリアル。君の背中を押させてほしい。

「大丈夫。もしもおかしなことをギルバートが言うようなら」
「言うようなら?」
「その時は箒で叩いてやるよ」

 箒? なんで叩くの? とまるで顔に書いてあるかのように、カシルはボクを見つめてきた。

「ブルーノが、それで成長できたからだよ」
「えっ、王子様を箒で叩いたの!?」
「性根を叩き直してやっただけだよ?」
「はぁ~。相変わらず、ユニティのスケールは違うわね」
「でも、心強いだろう?」

 そういうと、カシルは赤い目をパチクリさせた後、「うん!」と気持ちいい返事をしてくれた。
 やっぱりカシルはこうでなくちゃね。沈んだ顔なんて似合わない。さて、今日はもう遅い。明日になったらブルーノを迎えに行かないとね。