魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 カシルからすぐに話を聞きたかったのだが、さすがに乙女ゲームの話を、ブルーノとギルバートには聞かせられない。
 そこでボクは、ゴロツキを倒し終えたこの状況を利用した。

「すまないけど、二人でこいつらを、自警団に突き出してくれないかな?」
「勿論です! このままにして置けませんから。ユニティ殿。カシルのことをお任せしてもよろしいですか?」
「当然じゃないか。カシルとは、話したいことが山のようにあるからね」

 そう言いながらカシルの方を見ると、居心地が悪そうにしていた。ここ最近、避けていたギルバートは勿論のこと、ブルーノの存在にも驚いたのだろう。ボクの袖を掴み、「何がどうなっているのよ」と小声で話しかけてきたからだ。
 だけどボクはそれには答えず、ブルーノの方を見た。

「そんなわけだから、ボクたちは先にカシルの家に戻っているよ。できれば二人だけで話したいから……そうだね。どうしようか」
「問題ない。すまないが、ギルバート殿。しばらく厄介になりたい」
「えーっと……」

 戸惑うギルバートの横腹を、肘で突くブルーノ。空気が読めず、むしろ壊す方だったブルーノが、今や他者を促すことまでできるようになったとは……成長を実感せずにはいられなかった。ボクの後ろで隠れているカシルは、さぞ驚いていることだろう。

 内心、ほくそ笑んでいるボクは、頷くブルーノに向かって笑顔で応える。逆にカシルには、魔女らしく薄笑いを向けた。

「さぁ行こうか。ボクたちがここにいたら、ギルバート殿たちも動けないから」

 けれど今のカシルには通じなかったらしい。どちらかというと、ボクの話を聞きたいらしく、なぜか急かされた。
 気持ちは分かるけど、その変わりようはどうかと思う。だけどカシルの気が変わるのも困るため、ここは大人しく従うことにした。