魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 ボクは後ろを振り向き、ゴロツキと戦っている二人の様子を見た。さすがは騎士志望のギルバートと、ブルーノ王子様だ。
 自分の身は自分で守れ、といったけど、十分、ゴロツキを抑え込んでいる。ギルバートはギルバートで、相手から武器を奪ったのか、手には剣が握られていた。

 二人ともさすがだ。直にゴロツキを倒し終えるだろう。

「その話も含めて、あとでゆっくり話そう。いいね」
「えっ、それは、ちょっと……」
「ちょっとじゃない。ギルバートから話は聞いたよ。豊穣祭で何があったの? まさかとは思うけど、選ばれたわけじゃないよね」

 その言葉にカシルの体が跳ねた。やっぱり、と思ったけど、ボクは言葉を続けた。

「なんで隠すの? ボクたちは同じ転生者だよ。それにボクは魔女だ。ミルドレッドと君の運命を変えた魔女だよ。君の力になれるはずだ」
「……運命」
「そうだ。ミルドレッドの運命は変わった。預けた乳母の元で、辛い目に遭っていたけど、今は公爵夫妻と共にいる。これから家族仲良く暮らしていくんだと思う。予想外だったのは、ブルーノのことを好きになったことかな」
「えっ、好きってどういうこと!? それに辛い目って」

 カシルはボクの体から離れ、ようやくボクたちは顔を合わせることができた。その表情からは不安の色は見えない。今はただ、新たに舞い込んだ情報を知りたがっている顔だった。

「ボクたちは、それを知らせるために、ここに来たんだよ。だからカシル。君も教えて。何があったのかを」