魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「お前はカシルのことが心配なんだろう? 危険な目に遭ってほしくないって思っているんだろう? どうしてそこまで分かっているのに、踏み込もうとしない! 未だここにいる!」
「それは……ルーノ殿たちが訪ねてきたからで」
「違うだろう! 俺たちから、カシルが家を出たことを聞いたではないか。もしかしたら、今日もその林に向かったのかもしれないのだぞ。ここで呑気に話をしていていいのか、と言っているんだ!」
「っ! そうでした。話している間に、カシルに何かあったら……」

 ガタッと今度はギルバートが立ち上がり、玄関の方へと歩いて行く。その足は次第に速くなり、ボクたちも急いで後を追う。

「見直したよ。まさかルーノが、ギルバートに発破をかけるとはね」
「ミルドレッドの時に思ったのだ。一瞬の躊躇いが、命取りになる、と」
「……そうだね」

 助けに行くのが遅かったら、ミルドレッドの命は危なかった。もしも、カシルが似たような状況にあったら、と思うだけで胸が苦しくなる。

 前を行くギルバートの背中を見ながら、この気持ちが杞憂であってほしい、と願わざるを得なかった。