魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「ギルバート殿。君がカシルにとって大事な存在だからだ。ボクが勝手に言っていい話じゃない。たとえ憶測であっても、知られたくない相手に、部外者が土足で踏み込むべきではないんだ。分かるね」

 あと、乙女ゲームの話は、ボクにとってもデリケートな話。言えるわけがないんだ。

「だからさ。直接、カシルに聞きに行こうじゃないか」
「えっ……さ、避けられているんですよ、俺」
「それはボクも同じだよ。だからなんだっていうんだ。ボクは旧友に会いに来ただけ。カシルの知りたい情報を持ってね。だから後で文句を言われても、言い返せないはずさ。そう思うだろう、ルーノ」

 転生者や乙女ゲームの事情を知らなくても、ミルドレッドという共通の話題がある。

「あ、あぁ。俺たちは元々、それを伝えにやってきたんだからな」
「そうだったんですか」
「だからこのまま帰るわけにはいかないんだ。ギルバート殿。カシルを捕らえるのに、協力してもらえないだろうか?」

 ボクやカシル以上に、この街を知っているギルバートの力が必要だ。差し出されたボクの手を見つめるギルバート。
 もう一押し必要か、と思った瞬間、大きな手に掴まれた。

「ユニティさんの言葉で目が覚めました。待っていたって、何も解決しないですもんね。うだうだ考えていること自体、俺の性にも合わないですし」
「じゃ、交渉成立だ。よろしく頼むよ、ギルバート殿」

 カシルを説得する上でも扱い易い人物の協力が得られた、と嬉々としているボクの横で、なぜかブルーノが不満そうにしていたが、あえて気づかない振りをした。

 今のボクにとって、カシルの現状が大事だったからだ。