魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「ごめんね。実はボクたちも事情を知りたくて、こちらに立ち寄ったんだ。カシルからギルバート殿の話を聞いていたからね」

 実際はカシルの推しというだけで、何も聞いていない。だからこれから話すことは、すべて憶測であり、ボクの望みだ。

「この街で一番よくしてもらっているって。ありがとうね」

 同じ転生者だからか。同郷の気分だった。ボクの方が年齢は上なんだけど、見た目はそんなに変わらない。だからだろうか。ギルバートが首を傾げていた。だけどボクは構わずに言葉を続けた。

「どうやらカシルは、ちょっと深刻な事態に巻き込まれたみたいだ」
「巻き込まれた? この街で、物騒な出来事は起きていないはずだけど……まさか豊穣祭で何かあった、ということですか?」
「おそらくね。ただ、これはボクの憶測だから、君に言うのは控えるよ」
「どうしてですか!?」

 答えがそこにあるのに、聞かされないのは、お預けをくらうのと同じこと。納得できない気持ちも分かる。