魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「この景色は、この街と同じだね」
「似たような街はいっぱいあるが……」
「ギルバート・オーダムはこの街出身なんだよ。ここ以外の街にいるとは思えない。特にカシルは彼を追って、ここに住んでいるんだから」
「だが、似たような家が多い中、この景色にある家を探すのか?」

 まるで干し草の中から針を探すものだと言いたいらしい。このボクがそんな面倒なことをすると思っているのか? ボクは魔女だぞ。

「探知魔法には、索敵の用途もあって、相手の位置まで導いてくれる追糸魔法(ついしまほう)というのがあるんだ」

 ボクは水晶に向かって手を翳す。すると、水晶から一本の糸が出現し、大通りに向かって伸びていった。

「ブルーノには見えないと思うけど、水晶から伸びた糸が、ギルバート・オーダムに繋がっている。すまないけど、そのまま水晶を持っていてもらえるかい? ボクの恰好だと水晶を隠せないから」
「あ、あぁ。でも俺には糸が見えない。持っていても役に立つのかどうか」
「大丈夫。ボクが先導すればいいんだから」

 そういっても、見えないのは不便なのだろう。不満そうな顔をするため、同調魔法をブルーノの目に施した。

「これならどう? 視覚をボクと同調させたから、糸が見えるはずだ」
「おぉ! 凄いな、これは。いや、これがユニティが見えている世界か」
「ん? 糸以外は同調させていないはずだけど……まぁいいか」

 感激している相手に、わざわざ水を差すことはない。楽しそうなブルーノの横で、ボクは歩みを進めた。