魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 そうと決まれば話は早い。ボクは前世でプレイした、乙女ゲームの知識を思い出そうとした。けれど残念なことに、ギルバート・オーダムに関する知識は乏しかった。

 なにせヒロインとの初対面時では、すでに騎士になっていたからだ。学園に通っている最中、王都の街中でゴロツキに絡まれるイベントがある。その時、助けてくれたのが、ギルバート・オーダムなのだ。

 だから本来のギルバート・オーダムは、この田舎街にはいないことになっている。それなのにもかかわらず、カシルはこの街に留まっていた。ということは、ギルバート・オーダムは騎士になっていない可能性があるということだ。

 約一カ月前に立ち寄った時のカシルは、これからデートに行くような浮かれようだったのだから。仮にギルバート・オーダムがこの街を離れていたとしても、出身であるこの街には、彼の情報が必ず存在する。

 とはいえ、宛もなく彷徨うのは悪手だ。田舎というのは、外部の人間が目立ってしまうのだ。特にブルーノは、ボクのローブを着させている。怪しさ満点だ。

 仕方がなく、ボクは家主のいなくなった家の物陰に移動し、探知魔法でギルバート・オーダムの居場所を探した。見やすいように魔法で水晶を取り出し、机代わりにブルーノに持ってもらって。