魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「だから、刺繡がしたいって言ったんです。そしたら……」
「辛い記憶に直結するものは、やらせたくないのよ。ユニティちゃんだって、そう思うでしょう?」
「うっ」

 元々公爵夫人の困った顔に弱いのに、さらに似た顔をしているミルドレッドまで同じ表情を向けられると、何を言ったらいいのか分からない。

 あれからセジヴェルが、大変なことになっていたからだ。公爵は領主として、セジヴェルの労働環境をありのまま公表し、内部を調査させた。勿論、針子たちからの聞き取り調査も行われた。

 そこで分かったのは、パティによるミルドレッドへの虐めの酷さだ。過重労働や食事を抜かされていたことは知っていたけど、その他にも部屋に帰らせることなく、工房の床で寝泊まりさせたり、風呂に入る時間もないほど仕事を押しつけているのに、汚いと罵倒していたりしていたそうだ。

 当然、公爵夫人の耳にも入っているため、ミルドレッドにやらせたくない気持ちは理解できた。