魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「だが、言葉には気をつけるんだな。私も上に立つ人間だ。下の者への過重労働。不適切な労働環境。特定の人物にのみに課せているのは、君の采配の悪さが原因だと思うが、違うか?」
「それは……マイナ、いえミルドレッドお嬢様の刺繍の評判がいいからです。他の者には任せられない仕事ですので」
「だからといって、限度はあるだろう? 本人にも言ったが、一人に仕事を任せないで、同じくらいの技量を持つ者を雇うとか、育てるとか。そういう配慮はできたはずだ」

 パティの言葉に、ブルーノがすかさず口を挟む。

「み、ミルドレッドお嬢様が嫌だと。だから私はその通りにしたまでです」
「それはおかしい。ちゃんと本人に指摘したら、考え直していた。どっちかっていうと、パティがおだてて、ミルドレッドをその気にしたんじゃないのか? お客が求めている刺繍は、ミルドレッドにしかできないことだとかなんとか言って」
「私が? どうして私がご機嫌取りなんか。するわけがないでしょう! おだてたのは母さんよ!」

 相手がブルーノだったからなのか。はたまたパティの逆鱗に触れたのか、再び口調が荒々しくなった。

「パティ……」

 するとそこに、申し訳なさそうな顔をしたダーラが、部屋の中に入って来た。その声に、パティがすぐさま反応をする。