魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「そうだよ。そしてボクがダーラを、王都にあるカーマイン公爵家に送ったんだ。勿論、魔法でね」
「魔法……カーマイン公爵家に?」
「そう。ミルドレッドの現状を、包み隠さず伝えてもらうためにね。ダーラも、自分の不在が何を引き起こすのか。娘のことなんだから、分かっていると思うんだ。もう一人の娘の危機もね。だからそろそろ、やってくる頃じゃないかな」
「……まさか、母さんが公爵様を連れて来る、とでも言うの?」

 あり得ない、とばかり後退りするが、それをブルーノが許さない。

「ここはカーマイン公爵領だ。君を裁くのはボクじゃない。領主である、カーマイン公爵だ。そうだよね」

 パティに話しかけながら、腕の中のミルドレッドへと視線を向け、艶を失った銀髪を撫でる。

 来たよ、ミルドレッド。君の会いたがっていた人たちが、ようやくここに。そしてごめんね。せめて君を救うのが、ボクではなく、彼らにしてあげることくらいしかできなかったよ。

 心の中で謝罪をしながら、部屋の入口で絶句をしている色男、カーマイン公爵に顔を向けた。