「ぱ、パティ?」
バン! と勢いよく扉が開かれたものの、何も言わない訪問者に、ミルドレッドは刺繍針と布を持ったまま立ち上がる。さきほど仕事の終わりが見えないことで、散々怒られた後だっただけに、今度は何を言いに来たのか、と警戒心が勝っていたのだ。本当は恐怖で体が震えそうなのを、必死に抑えている。
けれど布を握り締めれば、「商品に皺をつけないで!」と怒鳴られるだろう。刺繍をした後、アイロンをかけて皺を取るのは大変だからだ。とはいえ、アイロンをかけるのはパティではない。
「母さんは?」
部屋を見渡した後、パティはゆっくりとミルドレッドに問いかけた。
「ここにいるんでしょう?」
「え? ここには私一人だけよ」
「嘘を言うな!」
パティはそういうと、ミルドレッドの肩を強い勢いで突いた。工房に籠りがちで、ろくに外にも出られず、作業が遅いと時には食事の時間に間に合わず、抜かれることもあった。そんなミルドレッドの体は、容易くよろけ、後ろにある布ロールが積まれた棚に背中が当たった。
バン! と勢いよく扉が開かれたものの、何も言わない訪問者に、ミルドレッドは刺繍針と布を持ったまま立ち上がる。さきほど仕事の終わりが見えないことで、散々怒られた後だっただけに、今度は何を言いに来たのか、と警戒心が勝っていたのだ。本当は恐怖で体が震えそうなのを、必死に抑えている。
けれど布を握り締めれば、「商品に皺をつけないで!」と怒鳴られるだろう。刺繍をした後、アイロンをかけて皺を取るのは大変だからだ。とはいえ、アイロンをかけるのはパティではない。
「母さんは?」
部屋を見渡した後、パティはゆっくりとミルドレッドに問いかけた。
「ここにいるんでしょう?」
「え? ここには私一人だけよ」
「嘘を言うな!」
パティはそういうと、ミルドレッドの肩を強い勢いで突いた。工房に籠りがちで、ろくに外にも出られず、作業が遅いと時には食事の時間に間に合わず、抜かれることもあった。そんなミルドレッドの体は、容易くよろけ、後ろにある布ロールが積まれた棚に背中が当たった。



