魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 違和感を覚えたのは、早朝のこと。今すぐ、ミルドレッドの元へ行かねば、という想いに駆られたのだ。

 祝福を与えた者との絆、というか。主にその者の危機に反応することがあるため、ボクたちはむやみやたらに祝福を与えなくなったのだ。人間の寿命は魔女よりも短く、危機に瀕することが多いからだ。
 いちいち反応が来ていたら、身が持たない。

 だけど今回の反応は意味が違う。ボクが仕掛けたからだ。おそらくダーラの不在に気づいたパティが、ミルドレッドに何かをしたのだ。矛先をミルドレッドに向けることは想定していたから、保護魔法をかけておいたけど……心配だ。

 ボクは椅子の上にあるクッションから飛び降りて、黒猫の姿から元の姿に戻る。早くブルーノを起こして、ミルドレッドの元へ向かわなければ、と振り返った瞬間、気配がした。

「ビックリした。もう起きていたの?」

 ブルーノがいたのだ。ボクが寝ていた椅子と、ブルーノが寝ていたベッドは近くにあったから、いたといっても、起き上がっていたにすぎない。