***
「母さん! なんで明かりも付けないの!?」
仕事がひと段落つき、パティは住まいである建物の扉を開けた。すでに空は月が輝き、星と雲が一緒になって絵を描いているようだった。
そんな夜ともいえる時間に、パティは父親に今日の売上を報告し、工房を覗いて、進捗を確認。手が遅いと、マイナと針子たちに発破という怒鳴り声をお見舞いしていた。
けれどパティのイライラは晴れない。その原因が、これだ。
一日中、馬車馬のように働いていたのに、出迎えもない。温かい食事もない。目の前にあるのは、暗くて冷たい家だった。
「母さん! どこにいるのよ!」
再び母親を呼ぶが、返事がない。日中だったら、買い物に出かけたのかな、と思うところだが、今は夜だ。そんな時間に母親が不在だったことはない。
いつも、「お疲れ様」と出迎えてくれるのだ。自分にしか見せない、母親の顔で。この時だけは、唯一穏やかになれる瞬間なのだ。
だからパティは、マイナと針子たちが自分よりも先に休ませることは、絶対にさせなかった。
その当たり前で、自分の拠り所がいない。
まさか、と思い、工房へ急ぐ。
「母さんの特別はいつもあの子。マイナ……ううん、ミルドレッドなのよ」
カーマイン公爵家の縁者が来たから、ミルドレッド、あの子が何かしたに違いない。
「もしかして、仕事をサボっていたのも、このためだったっていうの?」
許さない。許さないんだから!
「母さん! なんで明かりも付けないの!?」
仕事がひと段落つき、パティは住まいである建物の扉を開けた。すでに空は月が輝き、星と雲が一緒になって絵を描いているようだった。
そんな夜ともいえる時間に、パティは父親に今日の売上を報告し、工房を覗いて、進捗を確認。手が遅いと、マイナと針子たちに発破という怒鳴り声をお見舞いしていた。
けれどパティのイライラは晴れない。その原因が、これだ。
一日中、馬車馬のように働いていたのに、出迎えもない。温かい食事もない。目の前にあるのは、暗くて冷たい家だった。
「母さん! どこにいるのよ!」
再び母親を呼ぶが、返事がない。日中だったら、買い物に出かけたのかな、と思うところだが、今は夜だ。そんな時間に母親が不在だったことはない。
いつも、「お疲れ様」と出迎えてくれるのだ。自分にしか見せない、母親の顔で。この時だけは、唯一穏やかになれる瞬間なのだ。
だからパティは、マイナと針子たちが自分よりも先に休ませることは、絶対にさせなかった。
その当たり前で、自分の拠り所がいない。
まさか、と思い、工房へ急ぐ。
「母さんの特別はいつもあの子。マイナ……ううん、ミルドレッドなのよ」
カーマイン公爵家の縁者が来たから、ミルドレッド、あの子が何かしたに違いない。
「もしかして、仕事をサボっていたのも、このためだったっていうの?」
許さない。許さないんだから!



