「それに、ボクたちはもう宿に戻るからさ」
「あら、じゃもうここには、来ないってことね。探していた人が見つからなくて、残念だったわね」
「ふふふっ、それはどうかな?」
「……嫌な笑い方をするわね。ともかく! もう二度と来ないでちょうだい」
「それは無理だよ。ボクたちはカーマイン公爵家の縁者だよ? もう忘れちゃったの?」
ここヴァルクはカーマイン公爵領だ。マイナのことを抜きにしても、領主の縁者を無下にすることはできない。
「ボクたちはもう一度ここに来る。覚悟しておいてね」
思わず宣戦布告をしてしまった。だからといって、パティは逃げないだろう。マイナのために用意した店だが、パティが切り盛りをして大きくした店だ。それもまた、マイナの刺繍の腕によるものだろうけれど、それだけで他の貴族の目に留まる店になるはずはない。
センスのいい針子を雇い、工房をまとめ上げ、お客の要望を上手く汲み取る情報処理能力。経営をダーラの旦那がしていたとしても、こればかりはパティの力が大きいように思えた。
だからこそ、パティの態度はでかいのだ。実績の上の自信。店の評判。盛り立ててきた手応え。
ただ一つの欠点が、マイナに対する嫉妬。劣等感。それさえなければ、ボクも君のことを認めていたよ。
「あら、じゃもうここには、来ないってことね。探していた人が見つからなくて、残念だったわね」
「ふふふっ、それはどうかな?」
「……嫌な笑い方をするわね。ともかく! もう二度と来ないでちょうだい」
「それは無理だよ。ボクたちはカーマイン公爵家の縁者だよ? もう忘れちゃったの?」
ここヴァルクはカーマイン公爵領だ。マイナのことを抜きにしても、領主の縁者を無下にすることはできない。
「ボクたちはもう一度ここに来る。覚悟しておいてね」
思わず宣戦布告をしてしまった。だからといって、パティは逃げないだろう。マイナのために用意した店だが、パティが切り盛りをして大きくした店だ。それもまた、マイナの刺繍の腕によるものだろうけれど、それだけで他の貴族の目に留まる店になるはずはない。
センスのいい針子を雇い、工房をまとめ上げ、お客の要望を上手く汲み取る情報処理能力。経営をダーラの旦那がしていたとしても、こればかりはパティの力が大きいように思えた。
だからこそ、パティの態度はでかいのだ。実績の上の自信。店の評判。盛り立ててきた手応え。
ただ一つの欠点が、マイナに対する嫉妬。劣等感。それさえなければ、ボクも君のことを認めていたよ。



