魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「えっ! あの……」

 急に抱きつかれて、マイナが戸惑いの声を上げる。だけど抵抗する様子はなかった。ボクはこれ幸いにと、そのままの体勢で話し始めた。

「ごめんね。様子を見に来るのが遅くなって。ずっと、君が幸せに暮らしていると思っていたんだ。ボクの判断は間違っていなかった、と思いたくて。でもそれはボクのエゴだった」
「な、何を、おっしゃっているんですか?」
「ボクはね……君を祝福した魔女だ」
「えっ……では、あなたが私を助けてくれた、魔女様?」

 ダーラから何を聞いたのか、そこで瞬時に理解した。本当の家族から引き離されたことを、マイナに納得させるために、都合よく改変したのだ。

「今、辛い状況なのに、ボクを恨まないのかい? 本当の家族のところにいた方が、幸せだったかもしれないんだよ」
「……さっきまではそう思っていました。でも、ルーノさんに言われて、気づいたんです。私の過信が、この状況を招いたんだってことに。自分にしかできない。自分がやらなければ、パティが困る。ダーラが困る。皆が困る。私は可哀想なんだ。本当の家族から引き離されて、私は可哀想だから、これくらいやって当然なんだって。それもまた、間違っていたんですよね」
「誰にも迷惑をかけない生き方はできないよ。ドレス作りだってそうだ。マイナが刺繍をして、針子たちが縫い合わせていく。一人でドレスを作っているわけじゃない。本当の家族から引き離されたことも、嫌なら嫌だって言ったって良かったんだよ。声を上げれば、皆、君のために考えて動くから」

 ダーラが公爵に報告をして、マイナを引き取っていたかもしれない。表には出せなくても、カーマイン公爵家にとっては、それが一番幸せな形になる。