魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「で、でも……私は……」
「ごめんね。いきなり見苦しい姿を見せてしまって。怖かっただろう?」

 ボクは気遣いもできないブルーノを無視して、マイナに向き合い、回復魔法を施した。すでに変身魔法で正体がバレている以上、遠慮をする必要はなかった。
 マイナ……ミルドレッドをこの工房で見た瞬間、ずっと治してあげたかったんだ。叩かれた頬だけでなく、服の袖から見える擦り傷や痣。指先も荒れていて、涙が出そうだった。その姿があまりも想像以上に酷かったものだから、ショックで出なかったけど。

「……私はいいんです。慣れているので。それがどのくらい痛いのか、というのも」
「慣れちゃいけないよ。それにボクたちの場合は、ちゃんとその後、回復魔法で痛みさえも治しているから大丈夫」
「それは俺の台詞だと思うが……でも、確かに慣れるのは良くない。あと俺たちのは……なんというか、マイナのとは違うから安心しろ」

 いや、これも違うな、と後ろでぶつくさ言っていたが、マイナの表情が和らいだので良しとした。

「よく分かりませんが、お二人がそういうのなら、問題ないということなんですね」
「親愛の証のようなものだ」
「親愛?」

 ボクはそんな意味で叩いていたわけではないんだけど?