魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 おそらく、ブルーノが言いたかったのは、こういうことだ。なんでも一人で背負わず、強力をあおげと。
 だけどボクはダーラからパティの事情を聞いた後だったから、マイナの言い分の方が分かる。すでに孤立無援の状況で、下手に手を出すバカはどこにもいない。
 皆、自分の身が大事なのだ。工房という狭い世界で、自分を守るためには、マイナが虐げられていても、目を背ける。パティの機嫌を取るために、マイナに手を出す者もいるだろう。そんな時、誰が止める?

 部外者であるボクたちだろうね。王子であるブルーノが、針子たちからマイナを助け、裏では魔女のボクが画策する。まるで前世で読んだおとぎ話のようだ。相手はヒロインでもお姫様でもない、悪役令嬢だけど。

 さらにいうと、ブルーノはマイナに対して優しく接していない。これは後でお説教をしないとね。弱っている子にかける言葉じゃないよ。

 ボクは再び、ブルーノとマイナのいる窓へと近づいた。すると突然、その窓が開き、ボクの頭に直撃する。

「っ!」

 ダーラの時は、上にスライドさせるタイプの窓だったから油断した。工房の方は両開きだったとは……。
 意識を失う寸前、誰かに掴まれたような気がした。