くわばらくわばら! 私のバディは優しくない


水平に静かな、けれど鋭いひと払いだった。

猫が発する魔の気をすぱっと切ってしまう。

怒り狂っていたはずが、たちまちのうちに可愛らしい穏やかな姿に変わる。


もう終わったも同然。

だというのに、私の出番はようやくこれから。


「光音!」


呼ばれたときには、すでに上半身に巻きつけていた緒の結び目を解いていた。


鉾先鈴の柄をしっかりと握り、反対の手で(たもと)に入れていた桃を取り出す。

祈りをこめて、鉾先鈴を振る。


シャランシャランシャラン──


干し桃の香りが強くかおったのを確認してから、桃を投げつける。

桃が当たった猫の霊は、すーっと消えていき、見えなくなる。

黄泉の国へと旅立ったのだ。


(どうか安らかに眠って……)