リンカーネーションの口付けを

ずっと面倒臭くて入らなかったお風呂に入る。久しぶりに湯船にお湯を張って、きちんと体を隅々まで綺麗にした。でも髪の毛はずっと洗ってなかったせいで、絡まりまくっていた。躊躇いなくハサミを入れる。

タオルで体を拭きながらクローゼットを漁る。家から出ないし、ずっと寝てるだけの生活だったからいつも中学指定のジャージだったけど、こんな日にジャージなんて嫌だ。

「うん。これにしよう」

お気に入りの黒いTシャツと黒いパンツにした。なんだか特殊任務を与えられたエージェントみたいでわくわくする。こんなに心が動いたのはいつぶりだろう。

必要な荷物を持ち、家を出る。もう二度とここに戻ることはない。

「あいつはきっといつものところだね」

SNSを見なくてもわかる。だってあいつの過去数日間の行動は、全部SNSで把握済み。迷うことなくその場所に向かう。

「ーーーいた」

目線の先に、ターゲットが歩いている。私をいじめていた主犯格の女子だ。ケバいほど派手な化粧をして、ミニスカートに露出の多いトップスを着てる。