続 追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す

 そんな旭の笑顔に藍はむっとした。

「何が面白いんですか?何も面白いこと言ってませんよ」
「いやいや、大林さんの仕草や物の言い方が面白い」
「全然面白いとこないですよ」
「その大袈裟な表情とかも」
「え、何見てるんですか?運転に集中してください。危ないですから」
「はい、分かりました。大林さんを見ません。見たいけど」
「何言ってるんですか」

笑った旭を見て、イケメンのくせに何故5つも上の藍をからかうのか、本気で好きになったらどうするのかと思っていた。

付き合ったとしても年を重ねると、若い方がいいのだと思うはず、そうやって捨てられるのだと妄想した。そう思うとムカムカしてきた。その様子を旭が気づき聞いた。

「何、そんなに怒ってるの」
「いいえ、別に」
「それ感じ悪いんだけど」
「ごめんね。感じ悪くて」
「何で睨むの?」
「こんな目つきです。すみませんね。あ、こっち見たら危ないです」
「ごめん。あまりに熱い眼差しなんで」
「ふん」

顔を背けた子供のような藍が、可愛くて仕方なく思う旭だった。あのときのまま1つも変わらない。

藍がそのままでいてくれたことを神に感謝した。それに身分の差を考えず、恋愛ができ結婚もできると言う現実がある。そう考えただけでも幸せだった。

届かぬ恋の結末を知っていたから思えるのだ。旭には一筋の光が見えていた。後はどうすれば藍を振り向かせられるかが課題だった。

どんな女子も簡単に落とせても藍だけは上手くいかない。他のものはいらない。藍だけが欲しいと焦るあまりに上手くなのだろうか。