続 追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す

 藍が帰宅すろと岡田の姿はなかった。この頃はすれ違うことが多い。何をしているかも分からない。

お互いにそれ程、興味がないのか聞くことすらしなくなった。それはいつからそうなったのか覚えていないのだ。

 藍は何も考えずに荷作りを始めた。少し小さい方のスーツケースを出してきた。3泊くらいできるように着替えなどを用意して入れた。

ふと女子力の高いワンピースを手にした。だが別に彼氏と旅行に行く訳ではない。服はお洒落でなく動きやすいものをと考え直した。それに着回しができるようにして、荷物も少なめにした。

よく考えると、岡田と旅行すら行ったことがない。行くとしてもお洒落はしないだろうと思ってしまった。

旭にはお洒落をして、よく見せたいと考えている。それが不思議だと思うのだった。やはり藍は初めて会った時から旭を意識していたのだ。

 翌朝、車は首都高速を走り山梨県に向かった。車内の藍は旭といるのは気まずい。会えた時から何故か心が惹かれてからだ。胸の奥深くのもう1人の自分がいて、旭お見るたびにどういう訳か鼓動が高まる。

岡田がいるのに「あり得ない」と藍の心の声が言葉となって漏れた。その言葉に旭は聞き返した。

「え、何?」
「いえいえ、何もありません」
「2人きりの旅行に想像力が膨らむ?」
「あり得ません!」

旭は笑い出した。