続 追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す

 行こうという言葉が出たのは、藍の嬉しそうな顔を見ると言わざるを得ない。

すでにもう会社に取材旅行の申請を出していろのだから始めから決めていたのだ。

旭は嫌そうにしていたが、実は嬉しいに決まっている。四六時中、藍と一緒にいるのだ嫌な訳がない。

ただ昔の苦い想いを蘇らせることご辛いだけだ。でも今は藍がいる。昔の出来事を繰り返さなければいいだけだ。現世では同じことが起こらないで欲しいと願っている。

いやまさかの展開が起きる訳がない。矢が背中に貫くなんて、あり得ないのだから。

思いを巡らすうちに藍が旅行は明日にしようと言った。

「先生、善は急げですよ」
「そんなに急いで行くことなの?」
「はいはい、思い立ったら吉日です」
「またおばさんみたいなこと言ってる」
「おばさんで結構です。おばさんはせっかちなんです。さぁ、準備しますよ」
「自分でできるよ。大林さんは準備できてるの?」
「じゃ、私は帰って準備しますね。先生、忘れ物ないようにね。じゃ明日迎えに来ますね」
「分かった分かった。まるで母親気取りか」
「聞こえていますよ。私は母性本能が多分にあるんです。良いお母さんになれるでしょ」
「それプロポーズ?」
「何、大人からかってるんですか。じゃ帰ります」

藍は急いで玄関に向かった。赤面している顔を見せたくなかったからだ。

何か恥ずかしいか分からないが、旭を意識してしまた。対象外だと思つていたので、こんなに意識するのは、旭を男性として見ているせいだろうかと考えてしまった。

「まさか、無理だってば。あり得ない」

言葉にして否定することで全て無かったようにできると思いたかった。

会社に寄り明日から取材旅行すると上司に伝えた。その後は急ぎの仕事を片付け明日の予定を組んだ。ホテルの手配などの色々な準備を済ませ帰宅した。