勘違いだらけの契約婚

 心底不思議そうに尋ねられ、ミリアリアはうっと半歩下がった。

(い、言えるわけがない。ユージーン様がわたくしに恋情を抱いているなんて、都合のいい夢を見ているとしか思えなかったなんて。なのに、そんなはっきりと言われたら……現実だと認めざるを得ない)

 心の準備ができていないまま、想いを告げられてどうしていいのか、反応に困る。
 もちろん、ミリアリアだってユージーンのことは好きだ。尊敬しているし、美しいご尊顔を拝するだけで幸せな気持ちになる。自分に向けられる言葉は優しさに満ちていて、いつも胸が温かくなるのだ。

(わ、わたくしは……自分でも気づかないうちに、ユージーン様に恋をしていたの……? そして、彼もわたくしのことを? 本当にこれは夢ではないの? あまりにも都合がよすぎて怖いわ)

 真剣に悩むミリアリアの耳にため息が聞こえてくる。
 うつむいていた顔を上げれば、ユージーンが神妙な表情でこちらを見ていた。

「俺の気持ちは……君には迷惑だっただろうか?」

 その一言は諦観の念を感じさせるもので、思わず息を呑んだ。
 早く答えなければ。
 そう思ったら、考えるより先にも言葉が口から出ていた。

「迷惑なんかじゃありません! ユージーン様に大事にしてもらっているとわかって、むしろ嬉しいです」