(この方はなんてお優しいの。まるで砂糖菓子の塊のよう……)
本人が聞いたら怪訝な顔をされること間違いなしの賛辞を送り、ミリアリアは感嘆のため息をついた。
「さようでございましたか」
「君は一応、淑女教育は受けているな。でも穴だらけだ。最初は家庭教師がついていたが、途中からいなくなった、というところか」
「…………そこまで見抜いてしまわれるのですか。わたくしについていた家庭教師は弟妹の教育係に回されました。ですから、本を頼りに独学で学びました。至らぬ点が多かったようで、申し訳ございません。大変不躾なお願いですけれど、よろしければ社交マナーを学ぶ機会が得られましたら嬉しく思います」
今まで言えなかったことを口にする。
無知は恥だ。社交界で教養が足りないのは自分だけではなく、侯爵家全体の体面に関わる。どうか学ぶ機会を、というミリアリアの切実な願いはあっけなく叶えられた。
「もちろんだ。早速、君に合った教師を派遣しよう。だが案ずることはない。君に手ほどきをした家庭教師は優秀だ。基本の型はちゃんとできている。不足はこれから補えばいいだけの話だ。独学で身に付けた聡明な君ならば、物にするまでそう時間はかからないだろう。努力を厭わないミリアリアはよくやっている。もっと誇っていい」
「……ですが同年代と比べたら、わたくしの教育不足は否めません……」
「それほど自分を卑下する必要はない。あの環境の中で腐らず、素直に育ったことを喜ばしく思う。俺にとって、ミリアリアに出会えたことは幸運だった。過去を振り返るばかりでは前に進めない。ともに明日を見つめよう。俺たちは領地を守ったんだ」
未来は明るい、そう言われた気がした。
本人が聞いたら怪訝な顔をされること間違いなしの賛辞を送り、ミリアリアは感嘆のため息をついた。
「さようでございましたか」
「君は一応、淑女教育は受けているな。でも穴だらけだ。最初は家庭教師がついていたが、途中からいなくなった、というところか」
「…………そこまで見抜いてしまわれるのですか。わたくしについていた家庭教師は弟妹の教育係に回されました。ですから、本を頼りに独学で学びました。至らぬ点が多かったようで、申し訳ございません。大変不躾なお願いですけれど、よろしければ社交マナーを学ぶ機会が得られましたら嬉しく思います」
今まで言えなかったことを口にする。
無知は恥だ。社交界で教養が足りないのは自分だけではなく、侯爵家全体の体面に関わる。どうか学ぶ機会を、というミリアリアの切実な願いはあっけなく叶えられた。
「もちろんだ。早速、君に合った教師を派遣しよう。だが案ずることはない。君に手ほどきをした家庭教師は優秀だ。基本の型はちゃんとできている。不足はこれから補えばいいだけの話だ。独学で身に付けた聡明な君ならば、物にするまでそう時間はかからないだろう。努力を厭わないミリアリアはよくやっている。もっと誇っていい」
「……ですが同年代と比べたら、わたくしの教育不足は否めません……」
「それほど自分を卑下する必要はない。あの環境の中で腐らず、素直に育ったことを喜ばしく思う。俺にとって、ミリアリアに出会えたことは幸運だった。過去を振り返るばかりでは前に進めない。ともに明日を見つめよう。俺たちは領地を守ったんだ」
未来は明るい、そう言われた気がした。



