ミリアリアは動揺のあまり、フォークを取り落としそうになった。
ぐっと握りしめ、なんとか粗相は阻止できたが、一度暴れ出した心音はすぐには収まらない。
(か、勘違いしてはだめ。わたくしはただの契約妻でしょう。普通の妻ではないのだから、そもそも彼に愛される立場ではないのよ。ユージーン様が優しいのは、親切心や家族愛とか、そういうものなんだから……!)
必死に自分に言い聞かせ、心を落ち着かせる。
彼は敬愛なる夫であり、命の恩人であり、結界術の師匠だ。彼のためならば、命を賭して守り抜く覚悟だってある。
気合いを入れ直したミリアリアは、震えそうになる唇を一度引き絞る。
「……っ……。その、侯爵家の食事はどれも本当に美味しくて、感動しっぱなしでして。何度食べても感動せずにはいられないと申しますか。はしたない顔をしていると思うので、どうか見ないでいただけると幸いです」
「すまないが、その頼み事は聞けないな。俺のことなど気にせず、心ゆくまで味わってくれ」
「き、気になりますよ!」
「君は、夫に妻の顔を見るなと言うのか?」
「ぐっ……」
完全に言い負かされた。完敗だ。
ユージーンの言葉は正論だ。どちらかと言えば、ミリアリアのほうが言いがかりに近い。ぐうの音も出ない妻に、彼は面白そうに唇の端を吊り上げた。
ぐっと握りしめ、なんとか粗相は阻止できたが、一度暴れ出した心音はすぐには収まらない。
(か、勘違いしてはだめ。わたくしはただの契約妻でしょう。普通の妻ではないのだから、そもそも彼に愛される立場ではないのよ。ユージーン様が優しいのは、親切心や家族愛とか、そういうものなんだから……!)
必死に自分に言い聞かせ、心を落ち着かせる。
彼は敬愛なる夫であり、命の恩人であり、結界術の師匠だ。彼のためならば、命を賭して守り抜く覚悟だってある。
気合いを入れ直したミリアリアは、震えそうになる唇を一度引き絞る。
「……っ……。その、侯爵家の食事はどれも本当に美味しくて、感動しっぱなしでして。何度食べても感動せずにはいられないと申しますか。はしたない顔をしていると思うので、どうか見ないでいただけると幸いです」
「すまないが、その頼み事は聞けないな。俺のことなど気にせず、心ゆくまで味わってくれ」
「き、気になりますよ!」
「君は、夫に妻の顔を見るなと言うのか?」
「ぐっ……」
完全に言い負かされた。完敗だ。
ユージーンの言葉は正論だ。どちらかと言えば、ミリアリアのほうが言いがかりに近い。ぐうの音も出ない妻に、彼は面白そうに唇の端を吊り上げた。



