勘違いだらけの契約婚

「お恥ずかしながら、高級生地に体が慣れていなかったのです。その、今まではベッドといえば硬いものだと認識しておりましたので。雲の上にいるような、ふわふわした寝心地に慣れるまで時間がかかってしまいました。今は、極上の寝台で眠れる環境に感謝しております」
「ならばよい。食事の量は足りているか? 苦手な食材はないと聞いていたが、無理をしていないか?」
「食事の量は少しずつ増やしていただいているところです。無理はしていません。新鮮な食材で色鮮やかな食卓は毎回心が弾みますし、皆様の温かなご協力で健康な体になりつつあります。本当に感謝してもしきれません」

 素直な気持ちを吐露すると、ほっとしたように彼の口元がわずかにゆるむ。

「散歩も日課にしているのだったな。体力もついてきたようだし、そろそろ妻の務めを果たしてもらおうと思うのだが」
「……っ! 何なりとお申し付けください」