眉尻を下げて訝しげに問われ、ミリアリアはそっと視線を逸らした。
「…………ございません。誰かとテーブルを囲んでお茶を楽しむことは、上流階級の嗜みですもの。そのような晴れ舞台に、使用人以下のわたくしが呼ばれるはずがありませんから」
「そ、そうだったのか……」
「申し訳ございませんでした。てっきり、妻として新しい役目を果たせるとばかり……。これでは妻失格でございますね。毒味役も満足にできず、一般教養が足りないせいで閣下をがっかりさせてしまうなんて。本当に面目ございません」
反省の意を込めて、しっかりと腰を折って頭を下げる。
再びため息をつく音が聞こえ、びくりと肩が揺れてしまう。しかし、続く声色は労りに満ちていた。
「……何もそこまで落ち込まなくてもいいだろう。俺は君を悲しませたいわけじゃない。とにかく、毒味役は必要ない。そもそも自分の命を軽んじてはいけない。俺の妻として誇りを持って、長生きすることだけを考えてくれ」
「閣下……」
「ちなみに、侯爵夫人は優雅にお茶を楽しむのが仕事だ。ついでに糖分補給も必要だな」
今度はミリアリアがきょとんとする番だった。



