勘違いだらけの契約婚

 衝撃的な言葉にミリアリアは頭が真っ白になった。

(……妻として!? お慰めすることを求められている!? って何をすればいいの!?)

 夫婦関係の手引きすら知らずに嫁いできた身だ。
 隠居中の彼の両親ともまだ顔合わせすらしていない中、相談できる相手などいない。だが、ユージーンはたった今、凹んでいるのだ。
 妻としての正解がわからず、混乱したミリアリアは、考えるより先に言葉を発していた。

「え!? 何があったのですか!? 手紙にインク染みがついてしまったとか、名前の綴りを間違えてしまったとか、封をしてから手紙を入れ忘れていたとか、そういう失敗談が閣下にもおありなのですか!?」
「……ふっ、そのくらい誰でも経験しているだろう」
「で、では一体……」
「俺の妻は、贈り物を監視用の魔術具だと信じて疑わず、喜んでくれたが。その髪飾りに監視機能などない」

 淡々と語られた真実に、素っ頓狂な声が出る。

「……そ、そうだったのですか!?」

 ミリアリアの太ももに頭を乗せたまま、ユージーンはゆっくりと体の向きを変えた。仰向けの状態で、彼の瞳がまっすぐにこちらを見上げてくる。