勘違いだらけの契約婚

「…………。ミリアリア。これは本当に俺が読んでいいものだったのか……?」
「え? はい、もちろんです」

 即答する。誓って、やましいことは何ひとつ書いていない。
 ユージーンはしばらくそのままの体勢で固まり、神妙な顔で報告書に目を落とす。しばらく黙読した後、ぱたんとノートを閉じた。

「すまない、ミリアリア。これは本当に報告書か? 間違って自分の日記を出していないか?」
「日記ではありません、閣下。正真正銘の報告書です」
「…………し、しかし。これではまるで、ら、ラブレターのようではないか」
「ラブレター? 一体、誰が誰に宛てたものでしょうか」
「まさか、おかしいのは俺のほうか…………?」

 ユージーンは愕然とした様子で微動だにしない。
 完全に思考停止してしまったようだ。

「あの。閣下に読まれて困ることは書いておりませんので、問題ありません」
「……だが、しかし……。これは個人的な日記、なのでは?」
「いいえ。報告書です」

 繰り返し報告書だと答えるが、なぜか懐疑的な瞳が向けられる。
 どこを失敗したのかはわからないが、この反応からして、何か大きな間違いをしてしまったのは確実だ。