(今は··頼るしかない··)
リリィは、小さく息を吸う。
震える指先に、少しだけ力を込めて。
「···それでも」
かすれた声。
「助けて」
雨音だけが、静かに響く。
数秒の沈黙。
男は、じっとリリィを見下ろす。
「··めんどくせぇな」
でも放つ言葉とは違い
ぽん、と頭に手が乗る。
少しだけ乱暴で、
でも、どこかやさしい。
「いいぞ」
短く言って。
「俺の後ろ、いろ」
目の前には複数の男。
「その女引き渡せっ」
その言葉に男は
「やだね。」
「こいつ。今、俺のだから」
その瞬間
空気が変わる。
重く、沈む。
見えない何かが、
路地を満たしていき
男の手の甲に、黒い紋様が浮かび上がる。



