Nocturne of Light~ノクターン オブ ライト~

(お願い、もう少しだけ···)

視界が滲む。
足がもつれる、その瞬間···

誰かにぶつかった。



「···っと」
低く、落ち着いた声。
ぶつかるリリィの肩に両手を
そっと添える。


リリィは、はっと顔を上げる。
そこにいたのは

黒いコートを羽織り
黒の髪に赤のメッシュが混じった
無造作ヘアーの
男。


そして···

“色”
が見え···



分からない。

(え?)

いつもなら見えるはずの感情が、
なにも見えない。

ただ、黒。

男の瞳と同じ暗い··漆黒の黒。
深く、重く、底の見えない。

息が詰まりそうなほどの圧。


でも
その奥に、ほんの少しだけ。
あたたかな金色

(この人···)

怖い。
なのに、
完全には怖くない。