全力コンパス〜四神の恋は予測不能?!〜 ある日突然イケメン幼なじみの婚約者になっちゃいました!

リレーの後、碧衣ちゃんは「白組の子、絶対麗に足ひっかけてたよね!?」ってめっちゃ怒ってリレーを見てた春輝君と悠梨君と一緒に先生に言ってくれた。そのあと白組の子は先生にめっちゃ怒られたそう。

体育祭後も陰口はおさまらずその騒動に南月君も気づいて私を睨んでた女子を睨み返して陰口なんかはめっきりなくなった。
もちろん陰口を言われてた時はショックはあったけどふわふわした気持ちの方が大きかった。
いやだってリレーの時、南月君めっちゃかっこよくなかった?
若干ナルシスト感はあったけどあの顔で言われたら許しちゃうよね!
金曜日の放課後、寮でそんなことをまた考えているとドアをノックする音が聞こえた。
ドアを開けると相変わらず綺麗な顔の人物が立っていた。
「み、南月君どうしたの?」
南月君のことずっと考えてたからビックリしてたどたどしくなっちゃた。
「なんか妙にたどたどしいな」
私の喋り方がよほど面白かったのか南月君はすこし笑いながら話を続けた。
「急なんだけど明日任務が入ったから北神さんも来ない?」
任務!待ちに待った任務ですよ!
「いいの!?…私がいても邪魔になんないかな…」
「北神さんも結構色々出来るようになったし、朔さんもそろそろ実践してみたらって言ってた」
「行きます!!!行かせていただきます!」
「やる気十分だね。じゃあ9時南門集合。制服で」
「わかった!」

「やったー!初任務だー!」
南月君がいなくなったのを確認して呟いた。

次の日の朝、9時に南門に行って見慣れた車に乗り込んだ。
「南月君、おはよう!」
「おはよ。テンション高いな」
「そりゃーもう!初任務ですよー!今日はどんな任務なの?」
「廃校になった学校に取り憑いた霊を祓うっていうよくある任務だな。近いからすぐ着く」
車で15分ほど走って見えてきたのはボロボロの学校の校舎。
ーなんかモヤってした感じがする。
「なんかここら辺の空気他と違うね」
「霊が取り憑いてると周りの空気が汚れる。この空気が生活の至る所に少しずつ染み付いていって災害になるんだ。この空気を感じ取れるのは一部の人間、陰陽師だけだ」
南月君淡々と話してるけどきっとすごいことなんだと思う。
「やっぱり南月君ってすごいね!この年で世界を救ってるなんて!」
シンプルに尊敬するよ…
ちょっと前までは私はこんなことも知らないでのうのうと生きてたのが恥ずかしくなってくる。
私の言葉を聞いて南月君は顔を背けてしまって「速く車降りろ」と言って先を歩いていってしまった。
何か気に触るようなことをいっちゃったかな?

車を降り南月君の横に並んだ。
「こういう任務は大体霊が取り憑いてる場所が決まってる。教室、もしくは…」

「屋上」

「楽しく学校生活を送ってた奴は教室に取り憑くけど必ずしも全員が楽しく過ごしてたわけじゃない。いじめなんかにあって自殺した奴は大体屋上に取り憑くんだ。ここの学校は昔に自殺があった学校だから今回は多分屋上。…北神さんには嫌なものを見せてしまうかもしれない」
そっか。学校だもんね。いろんな人の思いが詰まってる場所。初任務で霊を祓うっていうことが初めての私はどういうことが起こるのかまったくわからないけど、きっといい気分でできる任務じゃない。
南月君の言葉に静かに頷いてボロボロの校舎の階段を登って屋上まで登った。
どんどん邪悪な力が強くなっていってる気がする。
南月君は屋上のドアを開けた。

誰かいる…
屋上を開けると端の方に制服姿の女の子が体育座りでうずくまっていた。
「あれが霊だ。祓うのには霊の過去に感情を委ねることが一番大切。霊の前にたったら目を閉じて強く願ってみて」
言われるがままに霊の前に2人で立った。
この子の過去を教えてください!
目を瞑って願った。そうすると目の前が眩しく光ったのを感じて目を開けた。
そうするとある女の子が席で友達と喋っている姿が見えた。
春。そわそわした様子で周りを見てた。
夏。友達と喋って楽しそうにしているのが見えた。
秋。文化祭の劇で失敗して周りからはぶられる様子が見えた。
冬。目に見えるような嫌がらせが始まった。いろんな人に追い詰められて真冬の雪が降るある日、彼女は屋上から飛び降りた。
やっぱりこの子はいじめられてたんだ。それに耐えられなくなったんだ。
人間ってやっぱり愚かだな。
目をもう一度閉じて開いた。
目の前には彼女と隣には南月君がいた。
「なんでよ…なんで誰も助けてくれないの?」
そんな悲痛な声が聞こえてきた。
「北神さん、とりあえず祓ってみて。話しかけて俺が合図した時に術を使って」
「わかった」

私は霊にそっと近いて話しかけた。
「大丈夫。もう1人じゃないよ」
きっと彼女が生きてたら一番言って欲しかったのはこんな言葉だったんじゃないかな。
霊はそっとこっちを振り返った。
「北神さん、今!」
この子の心をあの日とは違う雪で溶かしたい。
そんな風に強く願うとあたりが強く光った。
南月君の力も加算されて光はもっと強くなって光に霊は包まれて綺麗に消えた。
「北神さん、任務終了。お疲れ様」
「南月君もお疲れ様。なんか今日だけで人間として成長できた気がする」
「わかる。この仕事って色んな人の思いが伝わってきて学べることも多いんだよな」
きっとこれからも陰陽師として色んな人の人生を見ていくんだろうな。
でも南月君と一緒ならきっとどんな困難も立ち向かっていける気はする。
根拠はないけどなぜか強くそう思ったんだ。