そのとき、
「のんのーん!!」
廊下から聞き慣れた声。
「沙羅うるさい」
教室のドアを開けたまま、手を振ってる。
ほんと、変わらない。
「ねえ、クラスどうだった!?」
「普通だよー」
「絶対嘘じゃん笑」
ずかずか入ってきて、私の腕を掴む。
「てかさ、晃雅いたでしょ?」
え。なんで知ってるの。
「さっき見たよー、普通に話してたじゃん」
「ちがうってば!挨拶ね?」
「ふーん?」
即否定したのに、にやにやしながらこっちを見てくる。
その瞬間、
「仲いいの?」
後ろからの声に、びくっとした。
─────振り向いたら、晃雅が立っていた。
「仲いいよー」
普通に返したつもりなのに、なんでこんなにドキドキしてんだろ。
「ふーん。」 軽く笑う。
あの日と同じ、余裕のある顔で。
「あっうち先生に呼ばれてたんだった〜」
空気を呼んだのか、沙羅がにやにやしながら教室を出ていく。
(最悪。沙羅、嘘ついたなー)
「俺とも仲よくしよーね、乃々華ちゃん」
「おい、こーがー!」
男友達に呼ばれて、手を上げて走っていく。
ピコン
スマホに通知
────晃雅から、フォロー。
(さっきの一言が、ずっと残って。 胸の中で小さな生き物が暴れている感じがした)
