はじめてをくれた君と、最後を選んだ君

──帰り道


「なんか食べます?」


「えー奢りなら行くー」


「出しますよ」


「え、いいの?笑」


「先輩なんで」


「なにそれ笑」


並んで歩く、この距離が、さっきよりも少しだけ近い。



「……ねえ」


「はい?」


「なんでそんなに優しいの?」



 少しの沈黙のあと、



「優しくしてるつもりないっす」


「じゃあ、なに?」


「好きな人には普通じゃないですか」


「……先輩が思ってるより、俺ちゃんと男なんで」


 一歩、距離が縮まる。



「……は?」


言った瞬間、彼自身も「あ、やば」みたいな顔をする。



「あ、今の忘れてください」


「遅くない?笑」


「いやほんとに忘れてください」


珍しく焦ってる顔。


 (……可愛い)


そう思った瞬間、少しだけ、心がほどける。



「……無理なんだけど」

笑ったはずなのに、少しだけ声が揺れる。