はじめてをくれた君と、最後を選んだ君


先輩と別れたあと、


「のーのか」
 

不意に呼ばれて振り向いた瞬間、
ガツンと手首を掴まれて、壁に軽く押し付けられた。


「なにしてんの、晃雅。離してよ」


「なにが。さっきのやつ、仲いいじゃん。」


「別に普通じゃん」

 
「彼氏だっけ?」


「そうだけど。晃雅には関係ないでしょ」


「へー」

  耳元に近づいてくる


「ちゃんと大事にされてんの?」


  ( は?どーいうこと)


「されてるし!」


「他の男と笑うくらいなら、俺の前で泣いてろよ」


「は?なにそれ。晃雅だって彼女いるじゃん」


興味なさそうにするくせに、目だけ逸らさない。



  少しの沈黙。




「.....ムカつくんだよ」



それ以上は、何も言わない。


ただ、掴まれてる手首の力だけが少し強くなる。


  (なにそれ、)


理由なんて、聞かなくても分かる気がして

逆に、聞けなかった。




ほんの一瞬だけ、晃雅の目が揺れた気がした。



「あいつに泣かされんなよ。.....俺以外」



思わず、掴まれていた手首を引こうとした。

でも、

なぜか、離せなかった。


そう言いながら、

どこか誤魔化すみたいに笑って、

そのまま背を向けた。









 ──────なんなの。
 胸の奥が、ざらつく